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【電子書籍の企画立案と宣伝のコツ】

電子書籍の企画立案と宣伝のコツ

セルフパブリッシャーの4つの心がけ《最終回》

投稿日:2014年9月22日 表示回数:1259 views

倉下忠憲

今回は、当連載の最終回。

最後は、これまでの内容を振り返りながら、全体をまとめてみます。

ポイントを4つに絞り、セルフパブリッシャーが心がけたい要素を改めて紹介してみましょう。

とにかく作る

最初のポイントは「とにかく作る」こと。

わからないことはいろいろあると思いますが、なにはともあれ取りかかってみることです。知識をしっかり理解してからチャレンジしよう、というのではいつまで経っても先には進めません。

まずは、小さな文章でも書いてみる。そうすれば、原稿は完成に一歩近づきます。人間というのは不思議なもので、一歩足を進めれば、次の一歩も出やすくなるものです。それを積み重ねて原稿を書き上げてみましょう。

そうすれば、電子書籍にまとめたい意欲も高まります。幸いネットを検索すれば、電子書籍化を補佐してくれるツールやテクニックはいくらでも見つかります。知識というのは、必要になったとき一番吸収率が高まるものです。覚えてからやるよりも、やりながら覚えるというのが案外効率良いものなのです。

同じように、本を一冊も作る前から「どんな本が売れるだろうか」と考え続けるのも止めておきましょう。そうした分析に意味がないとまでは言いませんが、考えすぎてしまい結局本作りに着手できなくなるなら本末転倒です。

一冊目からホームランを狙うよりも、何冊か本作りを進めていく中で、より良い企画案の(そして、自分に合った企画案の)立て方を身につけていくのが、賢明です。

まずは、自分が書きたいことを追求してください。販売について考えるのは、その階段を上った後でも十分です。

動線・導線を意識する

マーケティングに関しては二つの「どうせん」を意識すれば、十分です。

どうすれば読者と自分の「本」をつなげられるか。あるいは、導けるか。それが肝中の肝です。それ以外の要素は、この目的に従属する手段でしかありません。

まずは、読者が本の販売ページにたどり着けるようにしましょう。

ネットでは、そうした施策にかかる金銭的コストが限りなくゼロに近く、個人でもできることがたくさんあります。そうしたことをコツコツ積み上げていきましょう。やったからといって売れるとは限りませんが、やらないで「売れない」と嘆くのはさすがに無理筋です。

読者と「本」をつなぐ線が理解できたら、次はそれを誘導することです。「誘導」とは言葉が強いかもしれませんが、興味を持ってもらいやすいように情報を提示すると考えておけばよいでしょう。

「読者」の違いに注目する

プロモーションに関しては、「読者」の違いに注目することです。

ものすごく関心を持ってくれている人から、まったく興味なしという人まで、さまざまな「読者」がグラデーションのように広がっています。当然、それぞれに向けた施策も異なるものになります。

値下げは、より広い層にアピールする施策ですが、献本は、それとはまったく違った意味を持っています。新作を値下げするのと、旧作を値下げするのも意味合いは異なります。

少なくとも、「とりあえず安売りしておこう」という安易な施策は避けましょう。どの層に向けて、どうアピールしたいのか。それを明確にしておくことです。

プラットフォームの脱構築を目指す

いささか難しい言葉が出てきましたが、そんなにたいした話ではありません。

たとえば、Amazonという販売プラットフォームがあります。巨大なマーケットであり、ユーザーの信頼を勝ち得ている企業でもあります。ここで本が販売できることのメリットは測りしれません。

しかし、Amazonに依存してしまうのは危険です。それは別にAmazonに対する非難ではなく、その他の販売プラットフォームにおいても同じことです。何であれ、単一のプラットフォームに依存してしまうのは危険なのです。なにせ、そこで販売できなくなってしまえば動線が閉じてしまうのですから。

このことは「マルチプラットフォーム路線を目指せ」という話とは少し違います。それはあくまで手段の一つに過ぎません。目指すべき地点は、「自分のプラットフォームを持つこと」です。

代表的なのはブログでしょう。ブログに読者さんが訪れてくれるようになれば、Amazonで販売ができなくなっても「楽天で買えますよ」と別の動線を提供することができます。それに、どのプラットフォームで販売できなくても、直接販売という手段が残ります。現代では、GumroadやPayPalを使えば、比較的簡単にデータを販売することが可能です。

そうした販売は、Amazonほどの販売力は持ち得ませんが、まったくないよりははるかにマシでしょう。

ブログだけに限らず、メルマガやSNSでも構いません。ともかく、読者と直接つながれる環境__情報を提供し、受け取ってもらえる状態__を構築していくことです。それが「自分のプラットフォームを持つこと」の意味です。

さいごに

本は、売るためではなく、読まれるために作るものです。

もちろん売れるにこしたことはありませんが、売るためだけに作る本は、やっぱり寂しいものがあります。

だから、次のことを心のどこかに置いておいてください。

「読者のことを忘れるな」

これを意識しておけば、きっと良い本ができるでしょう。良い本が必ずしも売れるわけではありませんし、その逆も然りなことは、書籍のランキングを見れば明らかですが、幸いセルフパブリッシングでは、そこまで売り上げに神経質になる必要はありません。

作りたい本を作れる。世に問いたい内容を出版できる。

それがセルフパブリッシングの特徴でもあり、長所でもあります。その長所を存分に活かした本作りにチャレンジしてみてください。

もちろん、せっかく作ったのですから、興味がある人に届けたいところです。マーケティングの考え方は、そこで役立つでしょう。

ずいぶん駆け足でしたが、企画の考え方とマーケティングについて紹介してきました。まだまだ紹介し切れていないお話はありますが、いったんは筆を置くことにします。

電子書籍に関する話題はЯ-StyleR-styleのブログでも随時更新しておりますので、ご興味ある方はチェックしてください。

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