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【電子書籍の企画立案と宣伝のコツ】

電子書籍の企画立案と宣伝のコツ

あなたの本は「検索」できますか?《第9回》

投稿日:2014年8月11日 表示回数:1031 views

倉下忠憲

前回は、二つの動線を紹介しました。「検索」と「直リンク」の二種類でしたね。

この二つを意識しておかないと、電子書籍はなかなか発見してもらえません。発見してもらえなければ、売れるはずもありません。シンプルな理屈です。

では、これらを意識するとして、具体的にどのようなアクションを行えばよいのでしょうか。

実は、やれることはいろいろあります。本を作る段階でできることもありますし、発売後にとれる行動もあります。お金をかけることもできますが、それが絶対必要というわけでもありません。手持ちの時間や使える資金に応じて、多様な方法論があり得ます。

むしろ、とれるアクションが多すぎて、何をすべきか迷ってしまうかもしれません。

今回は、一つ目の動線である「検索」に絞り込み、その中でも簡単にとれるアクションを紹介してみます。

ニッチの価値

本連載で、セルフパブリッシングに見合ったテーマとして「ニッチ」を掲げました。

大勢の人に向けたコンテンツではなく、小さな規模のニーズを満たすコンテンツがニッチです。

作成した本が、きちんとニッチ向けになっているのならば、それだけで検索における優位性が発生します。

なぜでしょうか。

それは、検索には必ずキーワードが伴うからです。

マス向けのコンテンツは、どうしてもキーワードが「ビッグワード」に偏りがちです。ビッグワードとは、「検索エンジンで、多く検索されるキーワード」を意味し、その言葉を含んだコンテンツも自然と数が多くなります。つまり、競争相手が多いわけですね。こうした状況は、レッドーオーシャンと呼ばれます。

たとえば、「恋愛」というキーワードでAmazonを検索してみましょう。

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2万6千以上の検索結果が出てきました。もし「恋愛本」を書いたとしたら、この2万6千以上の本全てが競争相手になってしまいます。有利か不利かで考えれば、間違いなく不利でしょう。

では、キーワード:「コンビニ」はどうでしょうか。

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120件台に落ち着きました。コンビニ関係の電子書籍は、あまり発売されていないのです。先ほどの状況に比べれば、ずいぶん競争相手が少なくなります。こうしたキーワードは「スモールワード」と呼ばれ、競争相手が少ない状況は「ブルーオーシャン」と表現されます。

ニッチ向けのコンテンツは、スモールワードが含まれやすいので、検索結果がブルーオーシャンになりやすい。これがニッチコンテンツが持つ、検索における優位性です。

+αキーワード

もう少しキーワードについて考えてみましょう。

たとえば「ブログ」でAmazonを検索してみます。

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1200件以上の検索結果が出てきました。いささか厳しい環境です。

では、「ブログ 書き方」ならでどうでしょうか。

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一気に8件まで減りました。

さすがにこのぐらいの数であれば、目に留めてもらえる可能性はぐっとアップするでしょう。もちろん、目に留めてもらえたからといって即売れるわけではありませんが、検索結果の後ろのページにしか表示されず、そもそも発見してもらえない状況よりは遙かにマシです。

ビッグワードの競争でトップになるのは難しくても、+αのキーワードで目立つことは十分可能です。

発見されやすくする

以上のことを理解した上で、実行するアクションは

「タイトルをつける」
「キーワードの設定」

の二つになります。

本のタイトルやキーワードは、検索対象になります。ここにどんなフレーズを入れるのかで、検索されやすさ__つまり、発見されやすさ__は大きく変わってきます。

本が具体的な情報を提供するものであるならば、それを示すフレーズを必ずどちらかに入れておきましょう。

たとえば、コンビニ店長のノウハウを紹介した本であれば、

『コンビニ店長のマル秘ノウハウ教えます』

といったタイトルにしておけば、検索で発見されない事態はまず起きません。しかし、あまりにもストレートすぎると感じるなら

『コンビニ店長の打ち明け話』

というタイトルにして、キーワードに「ノウハウ 店長 マネージャー コンビニ」といった言葉を設定しておきます。もちろん、内容紹介の部分にきちんと説明の文章を入れておくのも効果的です。

キーワードの効能

ともかく、「タイトル」と「キーワード」を甘く見てはいけません。検索ルートをつないでくれるのが、これらのフレーズです。

どんな言葉を含めるのかについては、本を(ひいては情報を)探す人がどのような言葉で検索するのかを考えてみてください。言い換えれば、ある情報を求めている人の行動パターンをシミュレートするのです。つまり「動線」をイメージするわけですね。

これは小説においても同様で、「推理小説 探偵 安楽椅子」といったキーワードを登録しておけば、そうしたジャンルを求めて検索する人に、自分の本が提示されることになります。重ねて言いますが、それだけで本が売れるわけではありません。発見されやすくなる、というだけです。でも、それが大切なのです。

私の場合であれば、実名での活動以外に、rashitaというハンドルネームを使っています。ややこしくなりそうなので、そのハンドルネームは著者名には採用していませんが、代わりにキーワードに設定してあります。

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だから、誰かがAmazonで「rashita」を検索すると、

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このように私の本がきちんと表示されます。そういう検索ルートも皆無ではないでしょう。

さいごに

KDPであれば、最大7つまでキーワードが設定できます。この数では全方位への対応はできませんが、ある程度の検索ルート(動線)は押さえることができるでしょう。タイトルと内容紹介をうまく使えば、より広く対応できます。

これは言葉通り簡単にできることであり、誰にでもできることです。逆に言えば、これぐらいは最低限やっておく必要があります。少なくとも、キーワードを一つも設定しなかったり、まるっきり的外れなものを設定してしまうのは避けましょう。

重要なのは、「人がどのように本を(検索で)探すのか」というイメージです。それがイメージできていれば、適切なキーワードを選ぶことができます。それだけでも「発見されやすさ」はずいぶん改善されるでしょう。

発見されやすさに関して言えば、Googleに広告を出すなどお金を使った(そして、かなり強力な)方法もあり得ます。もし、本格的に本を売り込んでいきたいと考えているならば、そちらも検討してみてください。ただし、これは経営における「投資」であり、必ず売り上げに結びつく効果を約束してくれるものではありません。費用対効果とリスクを考えて、判断する必要があります。

セルフパブリッシングを始めたばかりであれば、そして長期的な出版活動を考えているならば、まずは手軽にできるタイトルとキーワード設定に習熟していくのがよいでしょう。

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