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【電子書籍の企画立案と宣伝のコツ】

電子書籍の企画立案と宣伝のコツ

セルフ・パブリッシャーの3つの役割 《第1回》

投稿日:2014年6月6日 表示回数:1265 views

倉下忠憲

はじめまして。物書きの倉下忠憲と申します。

私は2010年から執筆業を営んでおり、これまでに8冊の書籍(主にビジネス書)を出版させていただきました。2014年には電子書籍にて『アリスの物語』という短めの小説も上梓しております。

どちらも出版社を経由する、いわゆる「商業出版」です。

それ以外にも、Amazonで自作の電子書籍も発売しており、それがすでに3冊。加えてブログや有料メルマガの運営も行っております。こちらは、セルフ・メディア、あるいは「セルフ・パブリッシング」と呼ばれる行為です。

商業出版と、セルフ・パブリッシング
フィクションと、ノンフィクション
閉じたコンテンツと、開いたコンテンツ

私の執筆活動には、さまざまな形の情報発信が含まれています。

私はこういうタイプの著者のことを、<ハイブリッド・オーサー>と名付けました。いささか節操がないように見えるかもしれませんが、新しい時代の物書きは、自然とこうした形に落ち着くことになりそうな気もしています。

さて、この連載でお話するのはセルフ・パブリッシングについてです。その中でも、特に「本を書くこと」__以外のことについて書いてみます。

誰でもが出版できる時代

そもそもセルフ・パブリッシングとは何でしょうか?

ストレートに解釈すれば、「自分で出版すること」になります。セルフ・サービスやセルフ・レジにおける「セルフ」と同じ文脈ですね。一から十まで自分の手で行う、そんなイメージです。

たとえば、Amazonが提供している「Kindleダイレクト・パブリッシング」(KDP)の仕組みを使えば、誰でもが手軽に自分の本をKindleストアに並べられます。もし、あなたが引き出しの奥に自作の小説をしまい込んでいるならば、それを電子書籍にして発売することができるのです。

その状況をさして、「誰でもが作家になれる」と表現することは間違いではありません。でも、十分でもありません。結局の所、誰でもが本を作れる、誰でもが作家になれるというのはスタートラインでしかないのです。

注意しなければならないのは、

「自分で本を書くこと」=「自分で出版すること」

ではないことです。

出版の全体像

商業出版にて書籍を作る場合を考えてみましょう。

まず、編集者が企画案を著者に持ちかけます。
著者はその企画案を元に原稿を書き上げます。
それが組版されて、印刷されて、製本されて「本」になります。
その「本」には、イラストや帯、表紙カバーも付けられます。
で、その「本」が流通にのせられ、書店へと送り込まれます。
さらに、告知や献本や販促イベントが行われたりもします。

かなり省略しましたが、それでも「文章を書く」以外の仕事が大量に含まれていることがわかるでしょう。この全体像すべてが「出版」なのです。

セルフ・パブリッシング__つまり「自分で出版する」とは、これらの仕事をよっこらしょ、と自分で背負い込むこととイコールです。

セルフ・パブリッシャーの役割

このように書くと、いささか大変すぎる作業に思えますが、紙の書籍と電子書籍は事情が異なります。

たとえば印刷といった工程はありませんし、「本」をトラックで輸送する必要もありません。「文章を書けばそれだけでOK」というわけでは無いにせよ、やらなければならないことは少なくなっています。また、ツールのアシストが期待できる部分もあります。その意味で、「簡単ではないにせよ、やってやれないことではない」とは言えそうです。

セルフ・パブリッシャーの役割は多岐にわたっていますが、それらを大きな括りでまとめると、以下の3つになるでしょう。

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  • クリエート・・・本の中身を作る
  • デベロップ・・・本の形を作る
  • プロモート・・・本の宣伝を行う

本連載では、「文章の書き方」といった<クリエート>に関する要素については(とりあえず)触れません。その代わり、デベロップとプロモートについて掘り下げていきます。

おそらく、クリエーター気質の人はこの部分を苦手としているでしょう(その多くは単に不慣れなだけだと思いますが)。しかし、苦手だからといって避けて通るわけにはいきません。「セルフ・パブリッシング」には、こうした作業がしっかりと含まれています。

さいごに

第一回目は、セルフ・パブリッシングの概要と企画の大まかな方向性を提示しました。次回以降は、それぞれの詳しいお話に入っていきます。

ちなみに蛇足的なお話になりますが、私は執筆業に転身するまで小売店の店長をやっておりました。つまり、ずっとマーケティングやらプロモーションを仕事の一部にしていたのです。その経験から言うと、これらの仕事はクリエートと同じぐらい楽しいものです。

本連載を通じて、クリエーターの方が売り上げを作れるようになるだけではなく、その楽しさに触れてもらえるならば嬉しいかぎりです。

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