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【電子書籍執筆タスク管理術】

電子書籍執筆タスク管理術

1_企画を半年も寝かした私が45日で原稿を書き上げられた7つの理由

投稿日:2014年1月9日 表示回数:3963 views

publiss編集部
publiss編集部

今回から電子書籍を発刊された著者さんに、仕事にプライベートに時間がない中どうやって短期間で執筆活動をしたのか。そのノウハウを、執筆タスク管理を中心に語ってもらう連載が始まります。

トップバッターはワーキングマザーのマルチタスク管理の方法をあますことなく語られているGTD超入門シリーズ『「忙しい」が口ぐせのあなたにワーキングマザーが教える自分の時間が増える36の時間管理術』著者の保科浩子さんです。

(publiss編集部 タスク管理班)

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今年3月、『「忙しい」が口ぐせのあなたにワーキングマザーが教える自分の時間が増える36の時間管理術』という電子書籍を出版しました。実際の執筆期間は1ヶ月半程でしたが、書き始めるまでに、半年ほど時間がかかりました。どうして時間がかかってしまったのか、また、どのように書き上げたのか、その理由を語っていきましょう。

【プロフィール】

保科浩子(ほしなひろこ)
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早稲田大学卒業後、SE、ITコンサルタントを経て、現在は人事業務に従事。二児を出産後に復職し、時間のなさに愕然とし、時間管理術やライフハックを模索する。「タスク管理」の実践により、効率的に仕事、家事、育児を行い、自分の時間を作り出すことができるようになった。今後も、タスク管理を活かし、仕事やその他の活動の幅を広げていきたいと考えている。
タスク管理セミナー「タスクセラピー」にてコーチを担当。日本アイ・ビー・エム(株)グローバル・ビジネス・サービス在籍。著書に『GTD超入門シリーズ「忙しい」が口ぐせのあなたにワーキングマザーが教える自分の時間が増える36の時間管理術』(Impress QuickBooks(インプレス・クイックブックス)、『システムコンサルティングの推進とその実際』(共著)がある。
ブログ 子供と一緒に大きくなろう http://with-kids.seesaa.net/

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1)締切を決めてもらった

電子書籍の話をもらった時に具体的な締切が決まっていませんでした。おそらく、どれだけ書けるのか分からない新人なので、配慮してくれたのでしょう。私は、元来、なまけもので、夏休みの宿題は夏休みの最終日に追い込んで片付けるタイプです。締切がないとどうなるか……というと、〈何も進まず〉という状態でした。

また、「タスク管理」について書くというテーマは決まっていましたが、内容や構成は自由に決めてよいということでした。自由というのは、自分で責任を持たなくてはならず、かえって大変です。なかなか内容を詰められずにいました。それでも締切があれば、なんとか進めるしかありませんが、その時は特に締切がないことで、ずるずると先送りしていました。

たしか、最初に打合せをした時は真夏でアイスコーヒーを飲んでいたのですが、半年後の打合せでは、季節は冬になりダウンコートを着込んでいました。その間、ほぼ進捗ゼロでしたから、テストで赤点を取って先生に呼び出されたかのように小さくなって打合せに向かったのを今でもはっきりと覚えています。

冬の打合せで、締切を決めてもらい、やっと前に進めることができました。自分の中で締切を設定することもできました(実際のところは、設定したものの何度も締切を変更しています)。やはり人との約束のほうが、効力が強いということです。関係者と現実的な締切を設定することが大事だと思います。

締切の他にも、チェックポイントを設定するというのも有効です。たとえば、1週間に1度「ここまで進んでいる」「ここでつまずいている」と関係者に進捗報告するとお互い安心できるでしょう。

 2)関係者を思い浮かべてプレッシャーをかけた

今回の企画は、「タスクセラピー」(http://tasktherapy.jp/)というタスク管理に関するセミナーでコーチを担当しているコーチ陣が、順次、電子書籍を出版するというものでした。佐藤圭二さん(『フリーランスと研究者は宣言するとうまくいく』著者 )と私が、第一陣でスタートしました。

全然前に進んでいない時、また、原稿を書き始めた時、よく関係者のことを考えました。第一陣の私たちが、「すみません、書けませんでした」で企画がボツになってしまったら、他のコーチ陣に申し訳ないと思ったからです。また、話をいただいた出版社にも、タスクセラピー主催の佐々木正悟さんにも顔向けができないと感じました。

セルフパブリッシングだったら、書かなくて困るのは自分だけですが、商業出版ですから、関係者がいるわけです。皆さんに迷惑をかけないようにしなければなりません。また、ビジネスなので、結果を出さなければなりません。

こうして、関係者の顔を思い浮かべながら、適度なプレッシャーを自分にかけつつ書き進めました。

3)「私なんて問題」を克服した

なかなか書き出せなかった理由の一つに、「私なんて問題」がありました。「私なんて問題」というのは(私がそう呼んでいるのですが)、私のような普通の人が、本など出していいのだろうか? と不安な気持ちを抱くことです。

提出した構成案は、私がそれまでにタスク管理を教えてもらった人の色が濃いという指摘が入りました。そう言われてみると、その通りです。さまざまな本を読んだり、セミナーで学んだりしたことをベースに実践してきたものなので、堂々と「自分がオリジナルで編み出したタスク管理や時間管理の仕組み」とは言えないなと困ってしまいました。

だいたい、「私なんて」特にすばらしい経歴を持っているわけでもなく、ただのサラリーマンです。世の中にはすごい経歴の方々が本を書いている中、私ごときが偉そうに本など書いてよいものかと思いました。いつのまにか「すごいことを書かなければならない」という重圧を自分で自分にかけて、書き出せなくなっている自分がいました。

ですが、考えてみると、特に実績もなく、すごい経歴を持っていなくても出版できるのは、電子書籍ならではかもしれません。紙の書籍に比べ出版コストが低く、出版社側も比較的低リスクで出版が可能です。そこで、こんな私でもお話をいただいたのは、書いてもよいということなのだと自分を励ますようにしました。誰でも最初からすごい人だったわけではないから、いただいた機会を無にしないようにしようと自分で自分を鼓舞しました。

オリジナルな内容ではないということについてですが、確かに私も本を読んで、これは、別の人の本にも書いてあったなと思うことが多々あります。世の中の本は、同じようなことが書いてあるものなのです。そのように、私の本を読んだ読者に、「そんなことは知っているよ」と思われるのは嫌だなあという気持ちが正直ありました。

ただ、同じことが書いてあると思われる本でも、ただ切り貼りしたのではなく、著者が他の人の考えややり方をうまく消化して自分のものにしていると感じられる本があります。そういう本を目指そうと決心しました。私がタスク管理でやっていることは、純粋に私が編み出したものではないとしても、私自身がやってきた、私なりの活用法です。自分のフィルターを通して、そこから人に薦めたいことを書こうと、気持ちを整理するようにしました。

4)「誰のための本?」を考えた

電子書籍の企画・編集を担当したデジカルの香月さんからのアドバイスは、「具体的な読者を想定して、その人に話しかけるように書くとよい」というものでした。私は、ワーキングマザーの心の疲れを軽くするというテーマで書こうと思っていたので、まずは、育休から復職して間もない会社の同僚を具体的に複数名、設定しました。彼女達は何に困っているのかを考えながら、彼女達に話しかけるように書こうとしました。ところが、何に困っているかを考えているうちに、会社の同僚より、少し前の育休明けの自分自身がどうだったかを何度も振り返っている自分がいました。そこで、自分が当時どんなことを考えていたか、何に困っていたかは、自分が一番よく分かっているので、過去の自分に「こうすればいいよ」と教えてあげるような気持ちで書き出しました。

そうすると、「私なんて問題」も同時に克服できてしまったかのようでした。想定読者である過去の自分に対して、自分を実際よりもよく見せる必要もないので、ありのままの自分で書けるようになったのです。ものすごく狭い想定読者ですが、それも電子書籍ならではでしょう。大勢に響く内容より、ごくわずかでも、読んだ人のヒントになるような、気持ちが楽になるような本にしたいと思いながら書きました。

上記に関連するのですが、執筆の理由を書き留めておくとよいでしょう。そもそも、「何故、本を書くか?」ということです。書いているうちに、ぶれてきたりするので、出発点に立ち戻れるように書き留めておくのです。当時のEvernoteを見返すと、執筆の目的として「お疲れママを救うために、この本を出さねばならない!」と書いてあります。今見ると大袈裟ですが、そのような気持ちで書きました。執筆に限らず言えることですが、何かをする時に「何のため、誰のため」にするのかを、はっきりさせておくと、目的を見失うことなく、ものごとを進めることができるということです。

5)プロに相談した

何しろ、初めての電子書籍執筆で分からないことだらけでした。やはり、業界の方の話は参考になることが多いので、出版社や先輩著者の方々に相談するとよいでしょう。

その中でも特に印象に残っているのは、佐々木正悟さんからのアドバイスで、「読者が困っていることは何か? それに答えるように書けばいい」というものと、先述した、デジカルの香月さんからのもの「具体的な読者を想定して、その人に話しかけるように書くとよい」という二つです。

「読者が困っていることは何か? それに答えるように書けばいい」というのは、なるほど、自分が困っている問題に答えてくれそうな本は、迷わず手に取りますし、その先を期待して読みます。その人が抱える課題を解決することができれば、読んで得るものがあったと思われるでしょう。

相談することからは少し逸れますが、ちょうど電子書籍を執筆することが決まった頃、立花岳志さんの「普通のサラリーマンが出版する方法」というセミナーに参加しています。「書きたいものを書くのではなく、読まれるものを書く」など参考になる話が伺えました。

また、何冊か「文章の書き方」に関する本も読みました。実績のある著者は、どんなことに注意して執筆しているのかを知りたいと思ったからです。そのとき参考になったことを推敲チェックリストに追加していき、推敲の際に活用しました。私が使ったのは、CheckEver for Evernoteというツールです。

 CheckEver

6)「毎日やる」と世界が変わることを知った

締切も決まり、どうにか「私なんて問題」をクリアし、実際に書き始めます。どうやって執筆を進めるかについては「毎日やる」というのが経験上おすすめです。ほんの5分でもいいので毎日着手します。毎日3時間執筆しなければならないと思うと気が重くなりますが、5分でいいと思えば気が楽です。ポチっとタイマーを押し、書き始めます。私は、Togglというツールを使いました。私の場合、いかに身構えないで書くかが大きな問題だったので、とにかく少しでもいいから前に進めようという気構えでいました。

執筆期間中にお正月をはさみましたが、記録を見ると元日も書いています。来客があっても書いています。我ながら偉いと思っています。何文字書けたかということも大事ですが、とにかく執筆に着手したかどうかに着目して、一文字でも書ければよいとすると気が楽です。

音楽や運動でも、一日の練習をサボると一週間後退するなどと言われます。執筆も同じです。動いているものは、慣性の法則で継続的に動くのです。

最初は、なかなか書き出せなかったものの、書いているうちにどんどん楽しくなりました。ランナーズハイならぬ、ライターズハイというのもあるかもしれないと思ったりしたものです。

7)隙間時間を徹底的に利用した

「執筆」というと、どうも身構えてしまいます。「ホテルで缶詰になり書き上げる」というイメージでした。ホテルに缶詰というように、まとまった時間がとれれば、それに越したことはないのですが、ライター専業ではなく、仕事も家事も育児もある身では、まとまった時間を確保するのはなかなか難しいものです。執筆のために会社を休むのも、ちょっと違うかなという気もします。そうなると、私の場合は、出社前の朝の時間と隙間時間を利用しました。朝は静かで邪魔が入らないので、執筆に向いています。朝ごはんの支度に取りかかるまで、と時間が制限されるので、集中して書くことができました。朝のうちに少しでも書き進められると、その日一日気が楽になります。

隙間時間には、場所を問わず、頭に浮かんだことを、iPhoneを使ってすかさずメモしておきます。例えば、別の活用例のほうが読者に伝わりやすいかもしれないとか、原稿を縦書きにしてプリントアウトしてみるなど、思いついたことをメモしておくのです。

推敲は、iPad miniにデータを入れて隙間時間でも行えるようにしました。電子書籍なので、読者もそれこそ隙間時間にタブレットやスマートフォンで読むことも多いと思います。読者の立場に立ってみるという意味で、プリントアウトだけではなく、タブレットやスマートフォンで原稿を読んでみるのもよいのではないかと思います。

こうして執筆を振り返ってみると、自分にプレッシャーをかけ(締切を決める、関係者を思い浮かべる)、そのいっぽうで自分の気持ちが楽になる方法(「私なんて問題」を克服する、誰のための本かを考える、プロに相談する、毎日やる、隙間時間を徹底的に利用する)を試してきたことが分かります。試行錯誤を重ねて進めてきたという感じです。

何のために(お疲れママを救うため)、誰のために(ワーキングマザー、特に過去の自分、関係者)、いつまでに書くのか(締切)を意識することで、執筆を軌道に乗せることができたのです。半年も企画を寝かせてしまったと恥ずかしいことも書きましたが、参考になれば幸いです。

私の執筆タスク管理手法

今回の執筆で「執筆タスク管理」に使用したツールは以下です。ツールの使い方やヒントはまた別の機会に紹介いたします。

MindMeisterhttp://www.mindmeister.com/ja
Nozbehttp://www.nozbe.com/jp/
NozbeInboxhttp://www.lastday.jp/2011/03/15/nozbeinbox
サイボウズLivehttps://live.cybozu.co.jp/
Togglhttps://www.toggl.com/
aTimeLogger 2http://www.atimelogger.com/
Evernotehttp://evernote.com/intl/jp/
Fasteverhttp://rakkoentertainment.com/fastever/

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【著書】

「時間がない!」「忙しい!」が口ぐせのビジネスパーソン必見! すべての人に平等に与えられている1日24時間を、いかに活用するか。マルチタスクが一番上手な働くママが教える時間を有効に使うための36のヒント。これであなたも「自分の時間」を増やせます。

「忙しい」が口ぐせのあなたにワーキングマザーが教える自分の時間が増える36の時間管理術 (impress QuickBooks)

保科浩子
出版年月日:2013-03-19
価格:500円
情報取得日時:2013-12-20 18:38

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次回(1/14・火)の連載は、フリーランスと研究者の方は必読! 私と同時期に発売された『フリーランスと研究者は宣言するとうまくいく』の著者佐藤圭二さんが執筆時のウラ話を語ってくださいます。

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