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第7回 電子書籍を発売したあとに知っておくべきいくつかのこと

投稿日:2013年12月2日 表示回数:1792 views

宮崎綾子
宮崎綾子

電子書籍の発行までは、前回までで終わりました。じぶんで本を発行したあと、出した本の告知(PR)は誰でも行っておきたいものです。また、よく、発売後に修正ができるのか?といった質問も受けます。これらは当然、著者としては知っておきたいことです。今回は、電子書籍を発売したひとが知っておくべきことをご紹介したいと思います。

電子書籍って売れるの?

Kindleと同時にKDPがスタートしてから11月で1年経ちました(1年前に書いたブログ「Kindleの自費出版システム「KDP」は本当に誰でもすぐに出版できるシステムか?」)。すでに、Kindleだけで何千部、何万部売れたという電子書籍について、そのノウハウなどをまとめたブログや本がすでに登場しています。以前は、紙の本がある場合、電子は5%程度しか売れないということが言われていましたが、必ずともそうは言い切れません。iPhoneアプリの電子書籍では「適当日記」は13万部(2011年時点)だそうで紙の本の売り上げの4倍以上売れました。マンガ家の鈴木みそさんは、自身でKDPでコミック「限界集落<ギリギリ>温泉」4巻を発売し、1か月ほどで2万部を売り上げました(2013年2月時点)。

有名人本だから、マンガはエンタメの王道だから、などいろいろなエクスキューズは考えられるものの、やはり「電子書籍は売れない」というジンクスは事実ではない、ということが垣間見られる事例だと思います。著者も、編集や企画の立場で電子書籍を10冊以上発売してきましたが、いよいよ万単位の売り上げのタイトルも出てきました。

ランディングかブログが最低限必要

現状、電子書籍では売れやすい本と売れにくい本があると思っています。たとえば、売りやすいものはインターネット技術やプログラミング言語など読者のITスキルが高い分野の本、本で買うとかさばってしまうコミック、空き時間に読みたい趣味のよみものなど。小説、ビジネスや実用書などもパッと読んでなるほどね、という内容であれば何度も読み直さないので電子書籍のほうがいい、という人も増えているように思います。旅行関連も、本を持ち歩かずに済むので人気のジャンルです。

売りにくいのは、ニッチな内容といえるかもしれません。アマゾンなどメガストアでは、本屋でいえばジュンク堂さんのジャンル担当さんとか、音楽でいえばタワーレコード担当さんなどでよく言われるように、店頭で「レコメンド」してくれる人はいません(レコメンドしてもらえる内容かどうかはさておき)。すると、本を出しただけでは埋もれる一方です。

電子書店においただけですぐに売れるというのは難しく、本を探しにきてくれる人の窓口として、少なくともランディングページやブログは必要です。出版した本と同じようなテーマのブログであれば、ブログの読者が増えるとともに本に興味のありそうな人との出会いが増えます。ブログは記事が多ければそれだけ検索からたどり着く人が増えるので、書いた方がいいのですが、書く時間が取れなくても、1ページで本の内容を紹介しているようなページがあれば人にも説明しやすいし、そのページからの売り上げもアフィリエイトなどで計測できるようになりますのでぜひ用意しましょう。

日本では、短い内容のエントリーで毎日更新するブログもめずらしくないですが、アメリカの電子書籍でヒットした作家などのコメントでは、重要なエントリーをいくつかしておけば(年に数回でも)いい、というような意見も見かけます。このあたりはお国柄もあるかもしれませんが、すでにネット上にはコンテンツが氾濫しているので、量やインパクトよりも質の時代だということかもしれませんし、あるいは、すでにブログを何年も保有していてエントリーが貯まっているという前提かもしれません。

わたしの経験では、ブログを書いていない著者の売り上げは基本的に低いです。また、ニュースサイトなどに執筆したり、取り上げられることもかなり有効な告知になります。ただし、売り上げがあがるかどうかは媒体によります。10代の女性などがターゲットのスマートフォンサイトでは、ビューは伸びてもあまり販売が伸びませんでした。同様にmixiで異常に反応がよかったもので、売り上げにならなかったということもありました。ネットの反応は過剰だと思います。記事やニュースが本当の読者に届いた場合は、高確率で読者を増やせますが、煽り記事では、ビューだけ稼いでアクションが起こらないこともあるように思います。そういう意味では、誇大広告のようなことはしないほうがいいということです。

どちらにせよ、つねに閲覧可能な(静的)ページは必須です。なぜソーシャルメディアでないかはこれから説明します。

ソーシャルメディアはPRに有効か

ソーシャルメディアは、フォロワーを多数獲得しているアカウントであれば瞬間的な売り上げに繋がりますが、1つのつぶやきの効果はふつう、5分から1日くらいしかもちません。ブログの場合は3日〜1週間などリアルタイムでの効果が長いそうです。さらにだれかが偶然過去の記事を読むことで、再熱することもあります。

フェイスブックもツイッターも、過去の記事がGoogleやYahoo!で検索できません。そうなると、どんなにいい反応がおこった内容も短期間で消えてしまい、再体験することができません。本人でも探すことが困難です。フェイスブックに関しては、最近投稿内容をブログに埋め込めるようになったので、なにかあった場合はそういった機能を使っていつでも再閲覧できるように「反応を保存」しておくことは有効かもしれません。ちなみに、フェイスブックを使って告知をしたとして、「いいね!」の数と売り上げは同じではありません。むしろ、「いいね!」しただけの人は、本を購入してくれません(買った人は「買ったよ!」とコメントしてくれるくらい熱心です(笑))。

ソーシャルメディアは同時期に同じ反応が起こったときに爆発的なクチコミ効果を生みます。ツイッターならリツイート、フェイスブックならばシェアです。または、新たに自分の本について新規投稿されることもあり(まれですが)、有効です。そこから待ったユーケー新規の閲覧者が増えるためです。伝播の一次段階(自分の友達だけの閲覧)では、大して情報は広まらないものです。

もうひとつは、ソーシャルメディアの気軽さから、あなたの本についてつぶやいてくれる人が発生する可能性です。Kindleでは、iPhone版ではまだバグがあってうまく動作しないことが多々ありますが、電子書籍を読了した際にクチコミで★を付けたり、ツイートで「読了しました」とつぶやく機能があります。これらのつぶやきが新たな発信者となって、さらに新しく本を知る人が増えていくこともあります。

あなたは普段「この本を買いました! 楽しかった!」と写真を撮って紹介していますか? それはよっぽど手間がかかるということをみなさんも知っていると思います。それだけに、簡単にクチコミ力を底上げしてくれる電子書籍アプリに内蔵されているシェア機能はとても有効な機能ですが、それ以上にその機能を使ってくれる人はとても重要な読者です。もしも相手がオープンなタイプに見えれば、お礼のコメントを送ってみてもよいでしょう。そういった気軽なやりとりができ、繋がりが生まれるのも、ソーシャルメディアの利点だと思います。

ソーシャルメディアは起爆剤になるけれど、長期の燃料にはなりません。とても有用ですが、小出しにマッチに火を点すようにケアしていかないとならないツールです。ソーシャルメディアは一方的に発信していても、なかなか人脈が広がりません。手間も時間もかかりますが、交流を行うコミュニケーション型のほうが「カリスマ」がなくてもユーザーを増やしていけ、最終的に信頼性の高いネットワークを築けると思います。

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